[からくりサーカス]エレオノールとは何者だったのか?そっくりな4人の女性達の関係性は?

こんにちは。

今まで『からくりサーカス』の主人公2人を追ってきました。
となると、次はやはりこの人。
今作のヒロイン、いえ3人目の主人公にして、物語の核となる女性。

そう、エレオノール(しろがね)です。

序盤は無感動、無表情だった彼女が、物語のラストで見せた「大好き」の笑顔に、涙が止まらなかった読者は多いはず。

しかし、物語が壮大なあまり、
「結局、彼女はフランシーヌの生まれ変わりなの?」
「フランシーヌ人形とは何が違うの?」
と混乱してしまう方も少なくありません。

無理もありませんね。
今作品にはエレオノールと同じ顔を持つ人物が他に3人もいるのですから!

そこでこの記事では、エレオノールとその他3人の女性達との関係性を、徹底的に深掘りしていきたいと思います。

1. エレオノールの基本プロフィール

  • 本名: エレオノール(才賀エレオノール)
  • 通称: しろがね
  • 操る人形: あるるかん
  • 容姿: 銀の眼に銀髪。美しい顔立ちと抜群のプロポーション
  • 特徴:並外れた身体能力と柔軟さを持ち、5年に1歳しか歳を取らない。
  • 性格:最初の頃は勝以外の人間に興味を持たなかった。
    幼い頃から人形を操ることだけを叩き込まれたため、人間らしい感情が欠如
    していた。

初期の彼女は、才賀勝を「主(あるじ)」として守ることだけに生きる、文字通り戦う人形でした。
そんな彼女が鳴海への愛や、様々な人達との関りの中、少しずつ「人間」として生きることを覚えていくのですが…。

しかし、一見感動的に思える話の裏には、数百年にわたる「呪い」と「愛」、そして「因縁」が隠されていたのです。

2.4人の「フランシーヌ」

ここは重要なポイントです。
エレオノールの存在を理解するために、まずは以下の4人(3人と1体)を整理しておきましょう。

キャラクター 正体 役割・最期
フランシーヌ(人間) 200年前の悲劇の女性 白(バイ)兄弟に愛された、すべての元凶とされる女性
病にかかったことを知り、自ら命を絶つ
フランシーヌ人形 兄・白金が作った自動人形 笑顔を求めて旅をし、最後にエレオノールを守って井戸で溶ける
アンジェリーナ 人形使いルシールの娘
クローグ村の虐殺で母親と共に生き残り、「しろがね」としてオートマータと戦う日々を送る
エレオノール 正二とアンジェリーナの娘 人間だが、体内に「生命の水」を溶けこませ「しろがね」として生きていた

この4人は容姿が「瓜二つ」と呼ばれるほど似通っているため、読者は混同しがちですが、全くの別人です。
ただ、それぞれ「生命の水」を通して記憶や情報を共有している部分があるため、お互い切り離すことができない関係性が存在しています。

4人の深い「血縁」と「記憶」の繋がり

なぜこの4人はこれほどまでに似ているのか?
それは「血の繋がり」と共に、錬金術による「記憶の転写(ダウンロード)」という2つのルートがあるからです。

① 血筋:フランシーヌ→アンジェリーナ→エレオノール

実は人間のフランシーヌには妹がいました。
フランシーヌは貧しい家庭に生まれたため、人減らしとして人買いに売られてしまったのですが、売られるのを免れた妹は成長し、やがてルシールを生みました。

ルシールはエレオノールの人形繰りの師匠であり、アンジェリーナの母親
そしてアンジェリーナと才賀正二*との間に生まれたのがエレオノールになります。

*勝の祖父:勝と血は繋がっていないが、祖父として勝を可愛がってくれていた

つまり、エレオノール達は「フランシーヌの妹の家系であり、フランシーヌの血を引く親族となります。
そのためエレオノールがフランシーヌと瓜二つであっても、遺伝的におかしくはありません。

②記憶:フランシーヌ人形 → エレオノール

ここが最も複雑なポイント!
読者は一回読んだだけではなかなか理解しづらい部分だと思います。
まずは「柔らかい石」という重要なキーワードの説明から始めてみましょう。

「柔らかい石」はアンジェリーナの中に入れられた

柔らかい石」は白金・銀兄弟の錬金術によって作り出された物質で、これを水に溶かしたものが「生命の水(アクアウィタエ)」です。
これを飲んだ者は瞬時に怪我や病気が治り、不老不死に近い状態となります。

柔らかい石は空気に触れると溶けていくため、人間の体の中で保存する必要があります。
しかし大人の体では拒絶反応が出てしまうので、子供の体に入れなくてはなりません。
そこで容(い)れ物として選ばれたのが、当時子供だったアンジェリーナでした。
そう、エレオノールの母親です。

アンジェリーナからエレオノールへ

やがてアンジェリーナは大人になり、勝の祖父(血のつながりはない)正二と結婚しエレオノールを出産。
その際に柔らかい石はエレオノールに移ってしまいました。

まだアンジェリーナの中に柔らかい石があると思っていたオートマータ達は、彼女を襲撃し、戦いの末、彼女は石の在処を人形使いのギイに伝え亡くなります。

エレオノールの幸せのため、ギイと正二は石の在処をエレオノール本人にも伝えず、2人だけの秘密にしました。
そのため、以後何十年も石の在処が分からず、オートマータや人形使いの間で激しい戦いが続いていたのです。

2人のフランシーヌの記憶の定着

アンジェリーナにエレオノールを託されたフランシーヌ人形は、エレオノールを守って逃げる最中、井戸に落ちてしまいます。
井戸の水にエレオノールの柔らかい石が反応し、水はアクアウィタエに変化。
アクアウィタエは全てのものを溶かしてしまうため、フランシーヌ人形はエレオノールを守り抜き溶けてしまいました。

そのアクアウィタエを赤ん坊のエレオノールが飲んでしまったことで、フランシーヌ人形の記憶が彼女に定着します。

そしてもうひとつ。
フランシーヌ人形の髪は、人間フランシーヌの本物の髪を使っていたため、アクアウィタエには人間フランシーヌの記憶も残っていました
そのため、エレオノールは「人形」と「人間」、2人のフランシーヌの記憶を継承することになったのです。

「血筋」と「記憶」
これら2つの要因が複雑に絡み合い、4人の女性達はそれぞれ別人でありながら、お互いに切っても切れない関係性を持つことになるのです。

人形から人間へ:世界一美しい「大好き」の笑顔

物語のクライマックス、エレオノールは自分を縛っていた「人形」という仮面を脱ぎ捨てます。

23巻越しの伏線回収

エレオノールのピンチを救い、愛を告げる鳴海。
そこで初めて、2人の心は完全に1つになります。

第1巻からずっと痛々しく、貼り付けたような笑い方しかできなかった彼女が、満面の笑みで放った一言。

「大好き」

この笑顔は、単なるハッピーエンドではありません。

鳴海が勝に教え、勝が守り抜き、そしてエレオノールがようやく掴み取った「人間としての証明」なのです。
藤田先生が描く花が咲くような笑顔は、読者が連載中ずっと待ち望んだ瞬間でした。

そしてそれを陰から見守る「最古の4人」のアルレッキーノとパンタローネ。
彼女の笑顔によって、心がない機械人形が「美しいな」と呟く、作中屈指の名シーンが誕生するのです。

まとめ:4人の女性達が手に入れた幸せ

エレオノールは「人形」として育てられ、白銀(バイイン)からフランシーヌの身代わりと狙われていた続けた悲劇の女性でした。

しかし、彼女を「一人の人間」として愛した鳴海と勝や、優しい人達との関りが、彼女の魂を救ってくれました。
好きな人を想う時の笑顔と、人としての幸せ。
それは彼女の中に住む2人のフランシーヌにとっても、望んでやまないものでした。

それからアンジェリーナ。
娘の幸せを何よりも願っていた彼女にとっても、何よりの喜びだったに違いありません。

フランシーヌから続いた愛と笑顔の物語は4人の女性を通し、こうしてエレオノールの笑顔によって完結するのです。

次にからくりサーカスを読むときは、ぜひエレオノールの「笑顔」に注目してみてください。
初期の冷たい表情が、最後にどれほど柔らかいものに変わったかを目の当たりにする瞬間。
きっと言い表せない感動が押し寄せてくるに違いありません。

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