こんにちは!
みなさんは、読み終わったあとに「ハァハァ」と息が切れるような、ものすごい熱量の漫画に出会ったことはありますか?
傑作『うしおととら』や『からくりサーカス』の作者・藤田和日郎(ふじた かずひろ)先生は、まさにそんな「魂を削って描く」漫画家の代名詞です。
今回は、彼の漫画がなぜあんなに熱いのか、その裏側にある「ちょっと笑えてヤバくて、最高にシビれる」エピソードをご紹介します!
1. 原稿は「修正液」でボコボコ!?
藤田先生の生原稿を見た人は、みんな驚きます。
なぜなら、白い修正液が山のように塗り重ねられて、紙が分厚くなっているから。
普通、修正液は失敗を隠すためのもの。
でも先生にとっては「納得がいくまで戦った証」なのです。
「この線じゃない!」
「この表情じゃ足りない!」
と、何度も何度も塗りつぶしては描き直す。
あの迫力ある絵はきれいに描こうとするのではなく、
「魂が乗るまであきらめない!」
という泥臭い執念から生まれているんです。
そして、先生にとって修正液は修正するだけでなく、描くための筆記具でもあります。
稲妻などの効果を出したり、迫力のある陰影を描くためにもよく使われており、先生にとって修正液はまさに相棒。
なくてはならない存在だとおっしゃっていました。
2. キャラクターを「わざと」地獄に突き落とす
藤田先生には、ある過酷なルールがあります。
それは「作者がキャラを甘やかさないこと」
読者が「このキャラ大好き!死なないで!」と思えば思うほど、先生はあえてそのキャラを絶望的な状況に追い込みます。
それは意地悪をしているわけではありません。
「どん底まで落ちた人間が、それでも立ち上がる瞬間こそが一番カッコいい」
と信じているから。
だからこそ、私たちは彼の漫画の登場人物の姿にボロ泣きしてしまうのです。
「読者のハガキ」へのガチすぎる反応
読者からのハガキやアンケートは、作家にとってとても大事。
藤田先生も非常に大切にされているひとりですが、その反応は今も言ったようにちょっと独特。
特にキャラを殺さないでという声には敏感に反応し、「それなら誰もが納得する最高の散り際を用意してやろう!」と、逆張りしてしまうのです(笑)
読者に媚びるのではなく、「読者の予想を裏切ることで、一生忘れられないトラウマ(感動)を植え付ける」ことに全力を注ぐタイプ。
藤田作品といえば、キャラの死に様が素晴らしいと定評がありますが、それはこのちょっと厄介な嗜好のおかげなんですね(笑)
3. 鏡に向かって「変顔」の特訓?
藤田先生はキャラクターの感情を描く際、自分でも同じ顔をしながら描くことで有名です。
鏡に向かって「クヘヘヘ」と笑う悪役の顔や、絶望に歪む顔を全力で作り、その筋肉の動きを確認しながらペンを走らせているそうです。
集中しすぎたあまり、ものすごい形相のまま外に出てしまい、警察官に職務質問されたという笑えない逸話もあります。
もしかしたら、先生がペンを走らせている間は、キャラが先生に乗り移っているのかもしれません。
4. 「指がインクで真っ黒」は漫画家の誇り
デジタル移行が進む漫画界において、藤田先生は長くアナログにこだわり続けました。
御年60歳を超えた今も、デジタルには一切触れていないそうです。
そのため先生の指は、常にペンのインクで真っ黒。
対談などで他の作家さんに会った際、相手の手が綺麗なままだと
「お前、本当に漫画描いてるのか!?」
と(半分冗談、半分本気で)詰め寄ることもあるとか。
彼にとって、汚れた手は戦い抜いた職人の証なのです。
5. アシスタントへの「無茶振り」と「愛」
藤田組(通称:梁山泊)は多くの有名漫画家を排出していることでも有名です。
たとえば、「金色のガッシュ!!」の雷句誠先生。
「烈火の炎」の安西信行先生。
「美鳥の日々」の井上和郎先生など、枚挙に暇がありません。
そしてもはや伝説となったエピソードも盛りだくさんです。
とにかく指導がアツい!
背景を描いているアシスタントには、「もっと情熱を込めろ!」とアドバイス。
「その木には魂があるのか!」
「その石ころの気持ちになれ!」
と無茶振りの熱血指導をしてくる藤田先生。
「烈火の炎」安西信行先生が新人の頃、藤田先生に「漫画の描き方」を聞いたのに、「とにかく映画を観ろ!本を読め!お前の引き出しをいっぱいにしろ!」と、技術以前の「表現者としての魂」を叩き込まれたそうです。
一方で、アシスタントが独立する際は自分のことのように喜び、全力で宣伝し応援する親分肌な一面がある先生。
他の先生方にもかなり愛されており、いろいろな作品に姿形を変えて登場しています。
6.ホラー映画が大好き
藤田先生の漫画といえば、思わず背筋が凍るような恐ろしいクリーチャーや、人間の業を煮詰めたような悪役が魅力ですよね。
実は先生、大のホラー映画マニアなんです!
先生の作品に大きな影響を与えた、その代表的な作品とは?
たくさんありますが、その中から3つご紹介していきましょう。
1. 『遊星よりの物体X』(ジョン・カーペンター監督)
藤田先生が「クリーチャー描写」において最も影響を受けたと公言している一作です。
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影響ポイント:
人間の体が割れて、中からグチャグチャした触手や目玉が飛び出す「肉体変容」の不気味さ。 -
作品への投影:
『うしおととら』の不気味な妖怪や、『からくりサーカス』の自動人形(オートマータ)の非人間的な壊れ方に、そのエッセンスが色濃く反映されています。
2. 『サスペリア』(ダリオ・アルジェント監督)
イタリアのホラー映画の巨匠による、色彩豊かな恐怖劇です。
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影響ポイント:
「原色」を多用した鮮烈な色彩感覚と、逃げ場のない様式美。 -
作品への投影:
藤田先生のカラー原稿で見られる、刺すような赤や深い青のコントラスト、そしてどこか演劇的(舞台装置的)な構図は、アルジェント作品のような「美しい恐怖」に通じています。
3. スティーヴン・キング作品(『シャイニング』『ミザリー』など)
映画だけでなく、モダン・ホラーの帝王キングの小説からも多大な影響を受けています。
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影響ポイント:
「日常がじわじわと異界に侵食される恐怖」と、それに立ち向かう「少年の勇気」や「過酷な運命」に衝撃を受けました。
個性的なキャラに加え、泣けるストーリーが新鮮だったそうです。 -
作品への投影:
『うしおととら』の潮ととらの関係性や、『双亡亭壊すべし』の得体の知れない屋敷の不気味さは、キング的な「モダン・ホラーの王道」を漫画に昇華させたものと言えます。
藤田流・ホラーを漫画にするコツ
藤田先生はただ怖いものを見せたいわけではなく、そこに独自の「ホラー哲学」を持っています。
それがこちら。
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「怖い」は「面白い」の裏返し:
読者が「ひえっ」と声を上げるような怖いシーンがあるからこそ、その後の反撃や勝利が最高に気持ちよくなる。 -
悪役は徹底的に「嫌な奴」に:
ホラー映画の殺人鬼のように、理屈が通じない、圧倒的に邪悪な存在を描くことで、主人公の正義感を際立たせる。 -
「お化け屋敷」の精神:
漫画は読者を楽しませるアトラクション。怖い演出は、サービス精神の表れ!
こぼれ話:ホラー好きすぎて……
先生は、仕事場のテレビで常にホラー映画を流しながら作業することもあるそうです。
アシスタントさんたちは、血飛沫が舞う画面を横目に、必死にペンを動かしていたとか…。
あの独特の「迫りくるような恐怖感」は、そんな環境から生まれているのかもしれませんね。
まとめ:藤田先生は作品と同様ヤバくて愛されていた!
作品同様、アツい藤田先生は、いろいろヤバいながらも多くの人に愛されていることが分かりました(笑)
このこだわりが失われていないからこそ、先生は今も熱量の高い作品を描き続けていられるのでしょう。
もしチャンスがあるのなら、先生の執筆を傍で見ながら、その熱を感じてみたい!

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