魚喃キリコさん死去 生前の活動と作品

こんにちは。

クリスマスに悲しいニュースが飛び込んできました。
漫画家、魚喃キリコさんが52歳で生涯を閉じられたそうです。
亡くなられたのは一年前の2024年12月25日。
一年後の発表ということでも驚きを隠せませんでした。

発表は故人とご遺族の意向だったそうです。

今回は魚喃さんを悼む意味も込めて、彼女の作品や経歴について書いていきたいと思います。

漫画家・魚喃キリコさんの経歴や作品

  • 名前:魚喃(なななん)キリコ
  • 生年月日:1972年12月14日(2024年12月25日没)
  • 出身:新潟県
  • 出身校:日本デザイン専門学校
  • デビュー作:『hole』(月刊漫画「ガロ」掲載)

絵を描くのが好きで、幼稚園の頃にはもう漫画家になりたいという夢を持っていた魚喃先生。
中・高と漫画を描いては出版者に投稿をしていたそうです。
その後、日本デザイン専門学校時代に描いた「hole」がガロに掲載されデビュー。
モノクロームのクールな絵柄で、胸に突き刺さるような大人のリアルな恋愛を描き、根強いファンを生み出してきました。

漫画の他にも絵本、小説のカバーイラストなども手掛けており、その独特のタッチと余白は作品の内容までも浮かび上がらせるようで、高く評価されています。

代表作ともいえる『blue』『南瓜とマヨネーズ』『strawberry shortcakes』は映画化もされ、先生自身も役者として一部の作品に出演していました。

長い休筆期間

数多くの作品を生み出し、若者の心を掴んだ魚喃先生ですが、2007年頃から長い休筆期間に入っていました。
理由などは公にされていませんが、モチベーションの低下や描くことへの情熱喪失など、ファンの間では様々な考察がされていました。

Xで「絵をキライになってから、もうどれくらい経つだろう」と語っていた先生。
きっと私達には計り知れない悩み苦しみを抱えながら、自分と向き合い続けていたのでしょう。

待望の新刊発売

長い沈黙を破るかのように、2020年に『魚喃キリコ 作品解説集』が発売。
この作品集は先生の作品解説と共に自らの心情をつづったもので、執筆秘話や休筆に関するインタビューなども載せられていました。

またそれを追うように『魚喃キリコ 未収録作品集』が上・下巻で発売。
デビューから90年代後半までの短編とイラストが掲載されており、13年ぶりの新刊として話題になりました。

インタビューによると、作品のほとんどは先生の実体験に基づくものだと語られており、作品の生々しさをも感じさせます。

先生の執筆への姿勢、作品を生み出す苦しみなども垣間見え、休筆の理由が気になっていたファンにとっても興味深い内容になっています。

還らぬ人に

沈黙を破っての立て続けの新刊発売。
以前の作品も再注目されるようになり、新たに先生の本を手に取る人も増えてきていました。

ファンの間でも再始動かと期待が高まった矢先、先生は突然還らぬ人となりました。
死因は公表されていません。
先生が何を感じ何と闘っていたのか、今となっては知る術もありません。

映画化された過去作品3作

ここでは映画化された3作品の概要をご紹介。
どれも魚喃先生の世界に満ちあふれている名作です。

blue

  • 作品名:blue(ブルー)
  • 掲載誌:『コミック アレ!』
  • 出版社:マガジンハウス

舞台は片田舎の海辺の町。
主人公の高校生「カヤ子」が同級生の「雅美」に淡い恋心を抱く物語。
思春期特有の心の揺らぎと苦い現実を経験しながら、自分と向き合う姿を繊細に描いた青春群像劇です。

映画は2003年公開。
市川実日子さん、小西真奈美さん等が出演しています。
市川さんはこの作品で「第24回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞」を受賞。
高い演技力が評判になりました。

『南瓜とマヨネーズ』

  • 作品名:南瓜とマヨネーズ
  • 掲載誌:CUTiE Comic(キューティコミック)
  • 出版者:祥伝社

ミュージシャン志望の恋人を支えるためキャバクラで働く主人公が、かつての恋人と再会し、再びのめり込んでいく様を描いたラブストーリー。
複雑に絡み合う恋愛模様がリアルに描かれ、切なくて、でも最後はどこか救われたような感じさえある。
ありふれた日常や、ひりひりと肌を刺すような痛みを巧みに描き出した名作です。

映画は2017年公開。
臼田あさ美さん、太賀さん、浅香航大さん等が出演しています。

『strawberry shortcakes』

  • 作品名:strawberry shortcakes(ストロベリーショートケイクス)
  • 掲載誌:FEEL YOUNG(フィールヤング)
  • 出版者:祥伝社

4人の女性の日常と心情を淡く切なく描いた、魚喃先生の代表作ともいえる作品。
それぞれ立場も年齢も、愛に関する考え方も違う4人が、葛藤しながらも自分の存在意義を見つけていく様が美しい線で描かれています。
自分と重ね合わせることができる珠玉のガールズストーリーとして、主に女性から多くの共感や支持を得ています。

2006年に映画化。
出演は俳優の池脇千鶴さん、中越典子さん等。
魚喃先生は岩瀬塔子名義でイラストレーター役として出演していました。

まとめと感想

若者を中心に多くの人々に影響を与え、時代を超えて支持されていた魚喃先生。
これからまた活動再開かと期待されていただけに、この訃報が残念でなりません。

ですが先生の残した作品は、今も多くの人に影響を与え続けています。

先生の言葉が絵が世界が、これからも続いてゆくと信じて。
心よりご冥福をお祈りいたします。

 

 

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